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2007年7月 2日 (月)

ダブルカウントと自社株買い ~ 久々の合宿セミナーを終えて

昨日までの週末は、久しぶりの「企業価値評価セミナー」でした。

今回は3月以来の開催だったり、スタッフ変更後初の開催だったり、自分がスタッフ側に回って初の開催だったり、内容を大きくリニューアルしての開催だったり・・・

色々と、新しい船出に相応しい、素晴らしく充実した場になりました。
その様子や、詳しい内容については、板倉さんはじめ関係者のブログ等で、紹介されているので、そちらに譲ります。

現在事務所のパートナーになって、セミナーで教える内容については、ほぼ全て理解しているつもりではいたのですが、それでも、実は新たな発見により、さらに理解が深くなることも多々あり、前準備の段階も含めての今回がまさにそうでした。

セミナーを受けた皆さんや、板倉雄一郎事務所のエッセーを読み込んでいる皆さんは、もちろん「ダブルカウント」の間違いについては、完全に理解されていますよね。

そうそう、阪神電鉄を買い占めた村上世彰が、現金化できもしない「線路」や「百貨店」の土地などを、非事業用資産として計算し、それを使った事業から上がってくるキャッシュと、土地などを売却した場合に入ってくるであろうキャッシュを、二重にカウントしていて、「村上バカだなぁ」というアレです。

まあそれは置いといて、今回のセミナーでは「自社株買い」についても、詳しく勉強しました。セミナーに出た方は、もちろん理解されていると思いますが、一例はこういうものです。

○ある会社の「価値」と「価格」が同じ(つまりフェアバリュー)で
   ある時、その会社が自社株買いをしたら、

1.会社全体の「価値」(企業価値)と
2.一株あたりの「価値」は

それぞれどうなるか、という問題について、考えてみて下さい。

す。

正解は、

1.会社全体の「価値」(=企業価値)は減少する。
2.一株あたりの「価値」は変化しない。

でしたよね。

では上記について、本当に腹の底から理解しているか、次の問題です。

1.については実際、「自社株買い」に使う現金が社外に流出し、BSも小さくなりますよね。具体的には、借方は現金が減り、貸方は自己資本(または純資産)が減少する。

次に2.についてなのですが、もし自社株買いをして、その結果現金が流出したとしても、それが余剰現金だとして、将来のフリーキャッシュフローに影響を与えないとします。

一方、自社株買いによって、市場に流通する株数は、確実に減少します。将来のフリーキャッシュフローが変わらず、株数が減少するのですから、一株あたりの将来フリーキャッシュフローの分け前は、増加することになりませんか?

それなのに、何故一株あたりの「価値」に変化がないのでしょうか?
ヒントはこの文章の中にあります。

わかった方は、コメント欄に記入いただくか、tkjsby@gmail.com まで是非メールを下さい。

PS)
買い取った自社株(金庫株)を消却しないと、株数が減らないからというのは、不正解です。これについても、板倉さんが書かれていますが、金庫株は消却してもしなくても、同じです。

PS2)
今回も「まったださん」の番ですよ!(笑)

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020板倉雄一郎事務所セミナー」カテゴリの記事

コメント

はじめまして、いつも楽しく勉強させていただいてます。「ここは考える時間です。」につられて、真剣に考えてしまいました。

株式数100株、
事業用100万+非事業用100万=200万
200万/100株=2万/株
という条件で、

10株(20万)の自社株買いをした場合、
株式数100株→90株
事業用100万+非事業用80万=180万
180万/90株=2万/株

という考え方はいかがでしょうか?

投稿: tohoku | 2007年7月 3日 (火) 03時32分

tohoku さん

コメント投稿有難うございます。
シンプルなアプローチが素晴らしいですね。
一つの考え方として、正解です。

一つ他の皆さんに、誤解なきよう注釈させていただくと、「有利子負債」と「少数株主持分」がない会社である点を、設問に明記すべきでした。

投稿: bigapple | 2007年7月 3日 (火) 08時34分

はじめまして、最近ここの存在を知り、興味をもって勉強させて頂いております。
回答ですが、
余剰資金(将来CFを生まない)によるフェアバリューの自社株買いですから、その価格には当然将来フリーキャッシュフローの価値が加味されている訳です。言い換えれば、将来FCFの先食い(流出)ですので、価格に含まれたFCFが実現しても先食いの穴埋めになるだけで(穴埋めしないとダブルカウント)、1株あたりの価値は変わらないのではないでしょうか。

投稿: straycats | 2007年7月 4日 (水) 22時54分

traycatsさん

ご回答有難うございます。
ニュアンス(先食いの穴埋め)からして、正解を理解されていると思います。

将来FCFの分け前を担保とした現在価値は、増加する訳ですが、その分現在の余剰資金に占める価値は減少している訳ですね。

投稿: bigapple | 2007年7月 5日 (木) 09時57分

価値と価格が同じ(フェアバリュー)ときに自社株買いして企業価値が減少するというのが分からなかったです。

分からないのは2つです。

価格(時価総額)と企業価値を比較すると整合性が合致していないので、比較すべきは株主価値ではないでしょうか?


現金が減少し、その分自社株を購入するのですから株主価値は変わらないのではないでしょうか?

どうかご教示ください。

投稿: ゴン | 2007年7月 5日 (木) 10時00分

ゴンさん

1.上記2つめのコメントにあります前提としていただければ、わかり易いと思います。

2.株主価値は減少します。このブログ記事の最後の方、BSに関する記述をお読みいただき、バランスシートで考えていただければ幸いです。

投稿: bigapple | 2007年7月 5日 (木) 12時12分

株主資本が小さくなるので、バランスシートも小さくなりますね。
自社株買いした結果、現金が減り変わりに株式を得られます。
現金の価値と株式の価値は同じ(フェアバリュー)なので株主価値の変動はないと思いました。

株主価値が減少するのは、株主資本コストの変動によるものでしょうか?

投稿: ゴン | 2007年7月 5日 (木) 13時33分

ゴンさん

この議論で株主資本コストについては、関係ありません。

出て行った現金と、入ってきた自社株の価値が同じなので・・・という、言われてる意味はわかります。

では、その入ってきた自社株が、本質的にどういうものかを考えるのが、この「自社株買い」の部分を理解する肝だと思います。

それが他社株ならBSは小さくはなりませんよね。

また、ヒントとしては、反対にフェアバリューで「増資」(会社設立でもいいです)をした場合はどうでしょうか。

発行した株式と同じ価値分の現金が流入するわけですが、この場合BSは大きくなりますか。また株主価値はどうでしょうか。

投稿: bigapple | 2007年7月 5日 (木) 14時44分

ゴンさん

ではもう一つヒントです。

ゴンさんの言われるように、
・株主価値は変化せず、
・株数は減る

とすれば、
1株あたりの価値は、増加することになりませんか。

投稿: bigapple | 2007年7月 5日 (木) 15時03分

> それが他社株ならBSは小さくはなりませんよね。

株主価値はBSの大小で決まるということでしょうか?
交換するものの価値で決まるように思いますがいかがでしょうか?

> 反対にフェアバリューで「増資」(会社設立でもいいです)を
> した場合はどうでしょうか。

増資した現金を何も投資しない(預金)のであれば、
増資する前の既存株主は増資分の価値が希薄化します。
新しい株主にとっては価値変動はありません。

> ・株主価値は変化せず、
> ・株数は減る
>
> とすれば、
> 1株あたりの価値は、増加することになりませんか。

整理すると、自社株買いとは
企業が自社株買いの価格で売却する株主から株式を買う行為であり、
そして企業の価値を保有してるのは自社株買いで株式を売却しなかった株主です。

企業は、自社の株式を保有してるわけですが、
それは同時に自社株買いに応じなかった株主が有しています。

したがって企業が買い付けた株式の価値は、株主のものとなり
株主が保有する1株あたりに換算すると価値は増加するように思います。


長文失礼しました。

投稿: ゴン | 2007年7月 6日 (金) 07時51分

ゴンさん
最初にtohokuさんが書いていただいた、回答例をよーく考えて、検証してみて下さい。
・株主価値はどうなっているか → 減少しています。
・一株あたり価値はどうなっているか → 変化しません。

もっというと、非事業用資産と、事業価値に分けて、それぞれの、
・株主価値
・一株あたり価値
がどうなるかを(上記の例で)考えれば、より深く理解できると思います。


投稿: bigapple | 2007年7月 6日 (金) 08時44分

ゴンさん
補足です。

>交換するものの価値で決まるように思いますがいかが
>でしょうか?

ここについて詳しく解説してみます。
出て行くものは現金、入ってくるのは自社株、どちらもその価値が同じなら、一見株主価値全体には、変化がないように思えますよね。

しかし、出て行った現金に対して、入ってきたものはどんなものか、その本質を考えてみると、自社株の「価値」を担保しているものは、自社の「1.事業価値(将来FCF)」と「2.非事業用資産」ですよね。

自社株買いする前の状態と比較して、
1.は全社で見て、変化がありません(という前提でしたよね)。
2.は全社で見て、減少しています(キャッシュアウトしました)。

つまり、全社でみた企業価値は、2.の分確実に減少している訳です。

一見同じ価値の自社株が入ってきたので、価値の変化はないように見えますが、自社株買いの「前」と「後」で、その企業の状態は確実に変化している訳です。


投稿: bigapple | 2007年7月 6日 (金) 12時07分

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